溺れた人への救助は人工呼吸をするの?しないの?溺水者の心肺蘇生法 徹底解説

溺れた人への心肺蘇生




プールや海で溺れた人が救助されたら、意識なし、呼吸なしだったが人工呼吸をしたら自発呼吸が戻ったというニュースを目にしたことがある方も多いと思います。

しかし、コロナ禍においては成人の心停止に人工呼吸は行わず胸骨圧迫とAEDを実施というニュースも目にします。

実際に溺れた人への救助は人工呼吸をするのか?しないのか?どのように救助を行えばよいのでしょうか?





確かに、コロナ禍における一般市民の方に向けての心肺蘇生の講習では、

胸骨圧迫とAEDが強調されすぎてしまい、とりあえずAEDを貼っておけばいい、胸を押しておけばいいという、心室細動以外の原因をあまり考えない流れが主流となってしまいる風潮があります。

しかし、小児蘇生や溺水者の救助には胸骨圧迫とAED以外に非常に重要なポイントがあります。




AEDがあればただちに装着すべきですが、それと同じかそれ以上に、子どもや溺水者の救助では人工呼吸が重要です。






心肺蘇生法ガイドラインと溺水者に対する心肺蘇生


一般的な心肺蘇生の根幹をなす重要なガイドラインであるAHA(アメリカ心臓協会)の心肺蘇生法ガイドラインが新しくなり、2020年10月21日に全世界に公開されました。

JRC蘇生ガイドライン2020 | (japanresuscitationcouncil.org)


今回の改定では手技の面では大きな変更はありませんでしたが、これまでは特殊なケースとされていた妊婦さんへの心肺蘇生や溺水者に対する心肺蘇生が記載されるようになりました。

特に溺水に関しては通常の流れとは異なる流れになっていますので、一般市民であっても学校の先生やプールの監視員などはきちんと習得しておく必要があります。



溺水者に対する心肺蘇生


コロナ渦における心肺蘇生では、バッグマスクがない、もしくはバッグマスク換気ができない場合は、成人傷病者には人工呼吸はしない、というのが基本方針ですが、

呼吸が原因で心停止が起こる可能性が高い子どもや溺水者に対しての心肺蘇生は人工呼吸が欠かせません



溺水者の救助手順


反応を確認する

大声で助けを呼ぶ

119番通報・AEDの手配

呼吸の確認

(普段通りの呼吸、胸・お腹の動きが確認できる場合は回復体位にして様子を見ながら救急隊を待つ)   

普段通りの呼吸をしていない 

 

気道確保・補助呼吸(2回)

 ↓

脈拍確認

 ↓

胸骨圧迫30回人工呼吸2回を繰り返す

 ↓

AED装着

 ↓

心電図の解析

電気ショック1回後直ちに心肺蘇生法を再開する

救急隊が到着するまで繰り返す



まとめ

溺水の救助手順
呼吸確認・なし → 人工呼吸2回       →脈拍確認・なし→ 30対2のCPR開始

最初の吹込み2回には、酸素供給と人工呼吸で状態を改善できる事を期待して行う補助呼吸の意味合いを持っています。


溺水者への救助で最も重要なことは人工呼吸をできるだけ早く行うこということです。

しかし、口対口人工呼吸は、フェイスシールドを使って練習したことがある、もしくは、あったとしてもできる自信がないというのが正直なところではないでしょうか?


そこで施設などに用意しておきたいものがポケットマスクです。

コロナ禍において人工呼吸をためらわれることがあって当然ですが、 呼吸が原因で心停止が起こる可能性が高い、子どもや溺水者に対しての心肺蘇生は人工呼吸が欠かせないことから、学校の先生やプールの指導者、プールの監視員などはポケットマスクとあわせて人工呼吸の練習をしておくとよいでしょう。



心肺蘇生の講習に関してはこちらの記事をあわせてご覧ください。

水の事故を防ぐために 守るべきこと



出典 https://www.youtube.com/watch?v=43bIPYFPt2k




毎年のように海や川などで溺れてなくなっている方がいます。




2020年も8月1日から12日までに、全国の海や川などでレジャー中に死亡、重体、行方不明になった人は、報道された事故だけで少なくとも50人以上いらっしゃいます。(このうち中学生以下の子どもが9人)





大雨が続いた地域の川や海では、河川敷や水底の状態も変わりやすく、魚釣りなど単独行動が多いレジャーでは救助要請が遅れることが多いことから注意が必要です。




また、川や海だけでなく、プールでも水の事故は毎年のように起きています。



そこで今回は、少しでも水の事故防止につながるよう、水の事故つまり溺水を少なくなるように水の事故防止のポイントをご紹介していきます。












溺水とは



そもそも、「溺水」とはどのような状態を指すのでしょうか。



『浸水(水が入り込むこと)もしくは浸漬(水に浸されること)により、窒息をきたした状態』

日本救急医学会



気道に水が入り、窒息することで酸素不足になり、生命に危険が及ぶ状態です。

低酸素により、脳に障害が出ることが最も生命予後と直結します。


低体温症や肺炎などを合併することもあります。





溺水は、顔面さえ水中に没していれば、発生します。





つまり、ビニールプールなどの浅い場所でも溺れてしまう可能性は大いにあるということです。












溺れているのに気づかない



溺水の怖いところは浅いところでおぼれるということだけではありません。




実は溺れている人を発見することはとても難しいです。



次の動画を見ていただければ、バシャバシャと溺れる方が少ないということがわかると思います。





出典  https://youtu.be/L0KTqPloUiU



いかがでしたでしょうか?








「静かに溺れる」と気づくのにも時間がかかることから、小さいお子さんや高齢者の方が水に入るときは特に注意が必要です。












静かに溺れる理由



足がつかないなどで、パニックになり水面をたたくなどはお判りいただけたと思いますが、実はほとんどの人が静かに溺れます。







人が水やお湯に静かに沈んでいくことを『本能的溺水反応』といいます。

溺れている人は『呼吸をすることに精いっぱいで、声を出したりすることができず』『手や腕を振って助けを求める余裕がなく』『上下垂直に直立し、助けが確認できない状況では足は動かない』といいます。



この現象は米国の沿岸警備隊の間では常識のようです。

本能的溺水反応は子どもだけではなく、大人にも起こりうるものです。


ただし、子どもの場合は自分に何が起きているかわからず、沈む速度も速いため、特に『静かに早く溺れる』と言われています。













水難事故防止のために守るべきこと



水難事故は心がけ次第で防ぐことができます。



最低限次のことは守るようにしましょう。












飲酒をしての遊泳は絶対にやめる。



遊泳中の事故では、飲酒をした場合と飲酒をしなかった場合とを比較すると死亡率は約2倍となっています。


飲酒での事故の原因の多くは「血圧上昇」のリスクです。



アルコールの効果に加えて、水による体温変化もさらに血圧上昇を加速させ、また水中では陸地で運動するより水の負荷があるので心拍数は上がりやすくなります。


その結果、遊泳中に心臓麻痺が起こる確率が増えます。



他にも、アルコールによる運動の力の低下判断能力の低下により、飲酒後の遊泳における事故が後を絶たちません。




車同様、飲んだら泳ぐな、泳ぐなら飲むなという意識を徹底させてください。











海での遊泳は、必ず海水浴場で行う。



海には浅瀬から急激に深さが増す場所があったり、水温の変化が大きい場所流れが激しい場所海藻が茂っていて危険な場所などがあります。



こうした場所には「遊泳禁止」や「危険」と表示され入れないようにしてあります。

海岸や海水浴場の掲示や標識などをしっかり確認してから海に入るようにしましょう。

海水浴場の遊泳区域は「ブイ」によって示されています。遊びに夢中になってブイを越してしまうことのないように気を付けてください。










悪天候時に水辺の近くに行かない




台風が近づいていたり、風が強い日などはレジャーを中止してください。



また、天気予報がよく、海水浴場などに行ってからも天候の変化に注意して、海が荒れてきたり空が曇ってきたりと変化を感じたらすぐに海水浴などを中止しましょう。


海水浴以外に釣りなども同様です。


釣りをするときやボートに乗るときなどは、ライフジャケットを必ず着用しましょう。








監視員の警告、ルールは守った上でを遊泳する。



プールや海ではいつも以上にはしゃぐお子さんが多く、予測できない事故は起こりやすくなります。



事故は保護者や監視員の注意を聞かず、目が離れたときに事故が多く起こります。

「走らない」「飛び込まない」を徹底するとともに、子どもから目を離さないこと

いかに落ち着いて行動させるかが事故防止のカギになります。












溺れている人を発見したら




溺れている人を見かけたら、助けようとして飛び込まず助けを呼び、近くにボールやペットボトルがあれば浮き具として投げましょう。




泳いで助けに行くのは最終手段です。








素手で、あるいは身近な物を使って



引き込まれないよう陸の上に腹ばいになり、手をのばして引き寄せる。



手がとどきそうもないときには自分のシャツやベルトをとって、あるいは身近にある棒(竹竿、ポール)、板きれ、なわ等につかまらせて引き寄せる。








救命用具を使って(例:リング・ブイの使い方)





出典 https://youtu.be/9rN2l8SYrVc

素早くロープの輪を重ねて作る、ロープの端はしっかり足で踏んでおく。



下手投げで、遭難者の後方に落ちるように投げる。

しっかりつかまったら静かに引き寄せる。




引きよせるときは、周囲の協力を得て体をつかまえてもらったり、可能な限り重心を低くして自分自身の安全確保も心がけましょう。








水難事故に遭遇した場合の対処法




では、実際に自分が溺れてしまったり、溺れている人を発見した場合どうしたらよいのでしょうか?








自分が溺れてしまった場合


水に落ちた時に助けを求めようと手を挙げると、体は立った状態で頭の一部だけが水面に出るため、さらに溺れやすくなってしまいます。




そんな時に命をを救う自己救助法が「UITEMATE(ういてまて)」です。





文字通り浮いて待てという意味で、水面に体を仰向けに浮かべて呼吸を確保し、救助を待つ方法です。

出典 https://youtu.be/CyV_FPbaUao



①慌てずに大きく息を吸って、水面に仰向けになる。
※この時、怖がらずにあごを上げ、空を見るようにすると息がしやすくなります。




②手足は大きく大の字に広げて、水面に浮いたままひたすら救助を待つ。
※手は水上に出さず、水の中に入れておきます。









③水に落ちても、無理に服や靴を脱がない。
※軽い靴は浮き具の代わりになり、服は体温を保つ役目を果たします。













溺れてしまった人を発見した場合



溺れている人を発見しても、助けようと自分も飛び込まないことが一番大切です。


出典 https://youtu.be/8ARpsJExJsc


ペットボトルや鞄等、浮力のある物を相手に投げる

「子どもを見守る人」「通報する人」に分かれ消防119番に通報する。海の場合は118番通報

救助を待つ間、”浮いて待て” “背浮き”と声がけを忘れないようにしましょう。






最後に



鼻と口を覆うだけの水があれば、つまり水深が10センチ程度であっても溺れると言われています。

『浅いから大丈夫』というわけではない、と理解することも大事です。


万が一溺れている人を発見したら119番通報をするとともに心肺蘇生法を行いましょう。