調理中のお湯や油がはねた。
熱くなった暖房器具等にうっかり触ってしまった。
このように、やけどは大人から子どもまで最もポピュラーなけがと言えるかもしれません。
また、日焼けもやけどの一種です。
軽いやけどでも処置の仕方を間違うと、ばい菌がつく等して傷が深くなる恐れがあります。
そのため、最初に適切な処置を受けることが大事なことです。
そこで今回は、いざというときに慌てないために、すぐに病院へ行くべきやけど、やけどの跡を残さないための対処法をご紹介します。
目次
やけどの原因
やけどは物体の熱作用によって引き起こされる身体の損傷です。
傷の深さは、物体の温度と作用時間によって決まります。
すぐに病院へ行くべきやけど
お湯、湯気、なべ、コンロ、アイロンなど身近な熱いものなど
身の回りには、やけどの原因がたくさんあります。
そして、不注意でやけどをする場合がほとんどです。
そのため、他の病気以上に予防が大切です。
しかし、以下のような場合はすぐに病院で診察してもらうようにしましょう。
必要に応じて119番通報も検討してください。
II度のやけど
やけどの症状は、皮膚が損傷を受けた深さや広さで変わり、I~III度に区分されます。
II度のやけどは、皮膚が赤く腫れて水ぶくれを起こし、強い痛みを伴います。
III度のやけど
III度のやけどの特徴は皮膚が白く乾燥して、正常な皮膚に見えることがあるが、毛は簡単に抜け、神経が壊れて痛みを感じない。
といった特徴がありますのでこのような場合はすぐに病院へ行くようにしましょう。
広範囲のやけど
深度II度以上のやけどを、大人では手のひらを1%として、全身の20%以上、負った場合、合併症などを引き起こすおそれがありますので、すぐに病院へ行きましょう。
子どもの場合は、全身の10%やけどを負った場合には病院へ行くようにしましょう。
低温やけど
炎でも瞬間的な接触なら傷跡は残りません。
しかし、湯タンポのような低温物体に一晩も接触すれば、深くやけどしていることが多く、皮膚移植術を必要とするような深い傷になってしまいます。
電気やけど
一般のやけどと違い、電撃傷では、局所の損傷がわずかでも不整脈をおこすことがあります。
体表面の損傷の広さでは重症度は判定がむずかしく、時間がたつとともに局所の損傷が拡大します。
また、筋肉の損傷を伴うことも多いことが特徴ですのですぐに病院へ行くようにしましょう。
化学薬品やけど
やけどは、火や熱湯ばかりではありません。
酸やアルカリなどによる科学薬品でのやけどは激痛をともないます。
速やかに大量の流水で洗い流し、酸の場合はつぎに重曹水、アルカリの場合は、つぎに5%塩化アンモニウム液で洗った後、水洗いします。
また、生石灰の場合は水洗いすると熱を発生しますので、粉末を払い落としてから水洗いします。
このように、特殊な手当を要すなど、どうしてよいかわからない場合は救急相談センターに電話しましょう。
救急相談センターに関してはこちらの記事をご覧ください。
気道のやけど
火事などで熱気や煙を吸ってしまうと、気道がやけどを負う場合があります。
ひどいときは窒息するおそれがありますので、すぐに119番に通報しましょう。
やけどの手当
やけどの部位は時間とともに、はれてきますので、手であれば、指輪などの装身具は早めにとって下さい。
すぐに冷やす
やけどはすぐに冷やす(やけどした部位を冷却する)ことが最も大切です。
しかし、この冷やすが勘違いを産み出しているのです。
けがの手当で冷やすというと、r.i.c.e処置の氷のうなどで冷やすイメージがある方も多いと思いますが、やけどの場合は氷のうなどは使いません。
r.i.c.e処置に関してはこちらの記事をご覧ください。
氷や氷水の冷却処置は、かえって皮膚組織を傷つけてしまい、逆効果です。
保冷剤や冷湿布なども使用しないようにしましょう。
やけどの冷やし方
熱湯や油のやけどでも水道水でかまいませんので冷やすことがとても大切です。
15~30分間を目安に冷却します。
指先や脚のやけどのような場合は1時間くらい冷却することが症状を軽くします。
冷やすことでやけどの進行を止め、痛みも押さえることができます。
やけどで注意すべきこと
やけどを負ったら慌てずに適切な処置を行う必要があります。
やけどの手当では以下のようなことに気を付けましょう。
衣服の上から冷やす
衣服の下にやけどがある場合も、衣服を脱がさず、直接水で冷やします。
あわてて衣服を脱がせると熱の作用が持続してより深いやけどになります。
水ぶくれはやぶらない
また、水ぶくれがてきた場合は破らずにしましょう。
水ぶくれが破れると、痛みが強くなり、治るのに時間がかかってしまいます。
やけどが広範囲に渡る場合は、衣服の外のやけどに目をとられて、衣服の下のもっと広いやけどを見逃してしまいがちですので注意が必要です。
すぐに病院の診察を受ける
冷やしたあとは、三角巾や無ければハンカチなどで患部を覆い、冷やしながら出来るだけ早く皮膚科医の診察を受けましょう。
早めの受診が、早くやけどを治して傷跡を最低限にすることにつながります。
三角巾に関してはこちらの記事をご覧ください。
診察前にワセリンなど薬を塗らない
自分の判断でワセリンなどをぬってしまうとその後の治療に差し障りがでてしまうことがあります。
やけどをした部位には医師の診察治療を受けるまで、自分の判断で軟膏や油などはなるべくつけないようにして下さい。
最後に
やけどを負った場合、傷を治すために、タンパク質と水分が漏出します。
重症の場合は脱水や低タンパク血症になることもあるので、水分やタンパク質を補うような食生活を心がけましょう。
また、ビタミンやミネラルは傷の治りを促進するとされていますので、感染症の予防に役立てることができます。
食事に関してはこちらの記事も参考にしてください。
不惑の応急手当広め隊
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