出典 日本赤十字社
小さいお子さんは当然身体が小さいことから、怪我や病気にかかりやすいといえます。
特に赤ちゃんはまだ身体も弱く、気を付けていても目を離した隙に何かを飲み込んだり、予測できない行動に出ます。
そこで今回は、万が一のために一歳未満の赤ちゃんのための心肺蘇生法をご紹介します。
目次
大人と子どもの心肺蘇生法と一歳未満の赤ちゃんの心肺蘇生法それぞれの違い
成人と子どもの心肺蘇生法の基本手順はあまり変わりません。
しかし、赤ちゃんの心肺蘇生法は力加減や優先順位などの違いがあります。
子どもの心肺蘇生法に関してはこちらの記事をご覧ください。
成人の心肺蘇生法と赤ちゃんの心肺蘇生法の違う点は以下の4点です。
1 心肺蘇生法の優先順位の違い
子どもの場合と同じように、119番通報とAEDの手配よりも優先して、2分程度の心肺蘇生を行います。
赤ちゃんの場合、喉に物をつまらせやすいため、窒息が原因で心臓が止まることが多いので注意が必要です。
2 人工呼吸の優先順位の違い
人工呼吸の準備が出来次第ただちに人工呼吸を開始することが推奨されています。
子供の場合と同じように、胸部圧迫が30回完了するのを待たずに準備が出来次第、人工呼吸を2回おこなうということになります。
3 胸骨圧迫の方法と深さの違い
成人の胸骨圧迫は5cmの深さまで圧迫し、小児の場合は胸の厚みの1/3程度を目安にしっかり沈み込むように胸骨の下半分のあたりを圧迫します。
対して、赤ちゃんの場合は、片手の指2本(中指・薬指)で、左右の乳頭を結ぶ線の真ん中から指一本分足側の部分を30回圧迫します。
4 AED(自動体外式除細器)の扱いの違い
AEDは以前は1歳未満の子どもには使用できませんでしたが、心肺蘇生のガイドラインの変更により使用できるようになりました。
乳児にAEDを使う場合は胸と背中にAEDのパッドを貼ります。
そのため小児用パッドには、胸と背中でパッドを貼る絵が描いてあります。
赤ちゃんの心肺蘇生法の流れ
赤ちゃんに呼びかけ、意識の有無、反応を確認する。
大声で助けを呼ぶなど、周囲の注意を喚起する。
呼吸の確認をする(見て・聞いて・感じて)。
胸骨圧迫を連続30回おこなう
気道を確保する(頭下げて・あご上げて)。
自分の口で赤ちゃんの口と鼻を同時に覆い、胸が軽く上がる程度に1回1秒かけて静かに2回息を吹き込む。
心肺蘇生(胸骨圧迫連続30回と人工呼吸2回)を続ける。
近くに誰もいない場合は、2分間の心肺蘇生をしたあと、ここで初めて119番通報をする。
反応の確認
まずは、赤ちゃんの反応を確認します。
周囲の安全を確認してから赤ちゃんに近づきます。
そして、足の裏を叩きながら、「〇〇ちゃん大丈夫?」「〇〇ちゃん聞こえる?」など大きな声でよびかけ、反応があるか確認します。
呼びかけに対し、目を開ける、応答する、泣く等の目的のある仕草などが無ければ「反応なし」です。
助けを呼ぶ・119番通報(口頭指導)
成人・子どもと違うところはAEDは呼ばないということです。
赤ちゃんに反応がなければ、大きな声で周囲に助けを求めます。
救助者が二人以上いる場合は、一人が心肺蘇生法を開始します。
他の人が119番通報します。
救助者が一人の場合や、協力者が誰もいない場合には、次の手順に移る前に、まず自分で119番通報します。
119番通報
「赤ちゃんが倒れています!誰か来てください。助けてください!」
周囲に人が集まったら「あなたは119番通報をして、救急車を呼んでください」と指示を出します。
119番通報のポイント
119番通報すると、電話口の通信指令員から、呼吸・心停止の判断や胸骨圧迫のやり方などの指導を受けることができます。
救命講習を受けたことがなかったり、心肺蘇生法に自信がない場合は、119番通報して状況を説明した後、通信指令員に相談して指示を仰ぎましょう。
119番通報の仕方に関してはこちらの記事をご覧ください。
呼吸の確認
成人・子どもの場合と同じです。
赤ちゃんが正常な呼吸をしているか確認します。
胸や腹部の動きを見て(上下に動いているか)判断します。
胸と腹部が動いていなければ、呼吸が止まっていると判断します。
呼吸の確認のポイント
呼吸の観察には10秒以上かけないようにします。
正常な呼吸かわからない場合など、判断に迷ったら、ただちに胸骨圧迫を開始します。
迷ったら(疑わしきは)胸骨圧迫、とされています。
すぐに胸を押しましょう。
胸骨圧迫
赤ちゃんの場合は、片手の指2本(中指・薬指)で、左右の乳頭を結ぶ線の真ん中から指一本分足側の部分を30回圧迫します。
一回圧迫したら、胸が完全に元の位置に戻るように圧迫を解除します。そしてまた圧迫します。
胸骨圧迫のポイント
押す深さ
赤ちゃんの場合は、片手の指2本(中指・薬指)で、左右の乳頭を結ぶ線の真ん中から指一本分足側の部分を30回圧迫します。
押すテンポ
1分間に少なくとも100~120回
解除(除圧)
毎回、圧迫したらしっかりと(完全に)胸を元の位置に戻す。
ただし、押す深さが浅くならないように注意しましょう。
絶え間なく
胸骨圧迫中断時間を最小限に抑えましょう。
圧迫を緩めるときは、胸がしっかり戻るまで十分に力を抜きます。
交代する
胸骨圧迫は体力を使います。
胸骨圧迫の質(深さやリズムなど)を低下させないために、複数人いる場合には救助者同士で胸骨圧迫を1~2分ごとに交代しながら行いましょう。
気道確保と人工呼吸
赤ちゃんの場合、モノを口の中に入れてしまったり、呼吸が止まって、心停止に至るというケースが多いため、人工呼吸が重要になります。
そのため、赤ちゃんの場合も子ども同様に、胸部圧迫が30回完了するのを待たずに準備が出来次第、人工呼吸を2回おこなうということになります。
人工呼吸をする前にはまず、気道確保をする必要があります。
気道確保をしたら、自分の口で赤ちゃんの口と鼻を同時に覆い、胸が軽く上がる程度に1回1秒かけて静かに2回息を吹き込みます。
胸の上がりが確認できるぐらいまで息を吹き込みます。
救急隊員が到着するまで、胸骨圧迫と人工呼吸を繰り返します。
30回胸骨圧迫、2回人工呼吸の割合で続けます。
目を開ける、応答する、泣く等の目的のある仕草などが無ければ、心肺蘇生を中断してはいけません。
意識が戻った場合は、赤ちゃんの様子を観察しながら救急車を待ちます。
最後に 日本赤十字社の幼児に対する心肺蘇生法
出典 日本赤十字社
不惑の応急手当広め隊
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