2022年11月5日更新
出典 https://youtu.be/zot76JtvG18
2022年(令和4年)8月1日、高知県でも救急の電話相談窓口である#7119がスタートしました。
救急車を呼ぶべきか判断に困る症状・けがなどに見舞われた時に利用したいのが、
救急安心センター事業「#7119」です。
今回、高知県の参加により、国民都道府県全域対応が13都府県、一部実施地域が6地域、#7119以外の番号で対応しているのが4県で救急安心センター事業を利用することが出来るようになりました。
しかし、聞いたことがないという人も多いのが実情です。
この#7119をより多くの人が知ることによって、すぐに救急車を呼んだ方がいい症状かどうか悩んでいる人だけでなく、
救急車を呼ぶ必要のない事態での救急出動要請を減らすという
両方の問題を解決することができます。
そこで今回は、#7119とはどういうものか、#7119のかけかたをご紹介していきます。
#7119(救急安心センター事業)とは
出典 京都市 https://youtu.be/ZmvUa8F7nOY
このダイヤルにかけると救急相談センターに繋がり、専門の救急相談医が
・すぐに救急車を呼んだ方がいい症状かどう、協力医療機関の救急相談医が緊急性を判断
・必要であれば救急相談通信員が救急車を出動要請
・緊急性が低い症状でも、病院への受診が必要かどうかのアドバイス
・受診可能な病院を検索し案内
などのアドバイスをくれます。
2007年6月1日から東京消防庁で開始されたこの制度は、当初、東京都のみのサービスでしたが、現在では東京の他にも利用できる県や市があります。
〝#7119を利用できる地域と各自治体の救急相談センター〟
令和4年8月現在
●都道府県単位で実施
宮城県/茨城県/埼玉県/東京都/新潟県/京都府/大阪府/奈良県/鳥取県/山口県/徳島県/高知県/福岡県
●市町村単位で実施
北海道札幌市周辺/神奈川県横浜市/和歌山県田辺市周辺/兵庫県神戸市周辺/広島県広島市/岐阜県岐阜市周辺
♯7119以外の番号で実施している自治体
山形県、栃木県、千葉県、香川県
#7119以外にも他の番号で実施している団体や他の名称で行っているところもありますので、詳しくはこちらの記事でご紹介しています。
最新の情報につきましては、各自治体のHPをご覧下さい。
救急安心センター事業(#7119)設立の背景とメリット
近年、救急車の出動件数は増加の一途であるということが問題視されていますが、特に問題視されているのが、病院での待ち時間が嫌だったため救急車を呼んだとか、タクシー代わりに救急車の出動を要請したという、
救急車を呼ぶ必要のない事態での救急出動要請です。
本来、救急車を必要としない軽症患者に救急車や救急隊員が駆り出されるため、本当に必要としている人への出動対応が遅れてしまうことが懸念されています。
また、土日や夜間に、やってる病院がわからなかった、
救急車じゃないと救急病院を受信できないと思った
という理由から軽傷での救急車の出動要請が多くあります。
そんな背景の中、#7119などの救急相談センターでは、専門の救急相談医により救急車が必要な症状であるかどうかのアドバイスを行い、緊急度の低い救急出動要請を減らす努力がなされています。
つまり、#7119の普及によって、
重症の人が119番にかけても、出動してしまっていて駆けつけられないという事態を減らす
医療機関における救急医療相談数の抑制につながり、病院業務に専念可能になり、医療従事者の負担軽減につながる
医療機関における不要不急な時間外受付者数の減少効果により、医療費の時間外加算を抑える
などの効果があり、その結果、住民へ安心安全を提供することが期待されています。
救急安心センター事業(#7119)のデメリット
#7119は2009年導入以後、大都市を中心に導入されていますが、まだ都道府県全域対応が13都県、一部実施地域が6地域にとどまります。

出典 救急安心センター事業(#7119)ってナニ? | 救急車の適時・適切な利用(適正利用) | 総務省消防庁 (fdma.go.jp)
この普及率の低さが最大のデメリットであり、例えば東京から導入されていない地域へ引っ越した際など注意が必要です。
〝相談員の確保困難〟
#7119の普及により、消防職員の負担は減ることが予想されますが、総務省は原則、24時間365日で医師や看護師らの相談対応を求めているため、医師や看護師の負担が増えます。
さらに、医師・看護師を配備すれば人件費が大きく膨らむため、24時間ではなく夜間などに限って類似の相談ダイヤルを設けている県であっても、すぐ#7119への移行は難しいというのが現状のようです。
〝地域限定導入での課題〟
横浜市などのように地域を限定して#7119を導入している地域にも課題があります。
例えば、横浜市以外の神奈川県内から#7119にかけると横浜市の相談窓口につながりますが、同市以外の場合、現地の医療機関の情報が十分にないため、119番にかけ直すよう案内することもあるそうです。
そのため、地域独自の番号ではなく、全国で医療相談ができるよう#7119を広げていくことが課題となります。
〝人員に限りがあり、応答率100%が難しい〟
#7119も電話が集中してしまうと人員に限りがあることからもなかなかつながらないというケースがあります。
各自治体で電話が集中する、病院が閉まっている時間に増員するなど工夫をこらしていますが、現状では応答率100%は困難といえます。
〝#7119では相談できないこと〟
これはデメリットではありませんが、#7119においても不要なダイヤルは控えましょう。
そのため、
セカンドオピニオンに関すること
健康相談
医薬品情報に関すること
等の相談はできません。
救急安心センター事業(#7119)の流れ
〝#7119にかけると〟
自動音声ガイダンスで
医療機関をお探しの方は1を
救急相談をご希望の方は2を
という音声が流れますので希望の番号を押してください。
番号を押さない場合は同内容が繰り返され1の医療機関をお探しの方につながります。
〝オペレーターと話をする〟
1を押した場合は救急相談通信員が対応してくれ、2を押した場合は看護師が対応してくれます。
症状のある人の年齢性別、電話している人との関係を尋ねられます。
他にも、
現在の状態
何があって、この状態になったのか?
いつからこの状態なのか?
自力で歩けるかどうか
などを聞かれることがあるため、体調が悪い人の代わりに電話している時は体調の悪い人の近くで確認しながら電話をすると良いでしょう。
〝対応を検討してもらう〟
緊急性が高い場合は、救急車が出動します。
救急車の要請は必要ないが、直接医師の診察や処置が必要な場合は、すぐに受診できる病院を紹介してくれます。
この間2~3分かかる場合があります。
〝対応を聞く〟
最寄で対応可能な病院を数か所紹介してくれます。
病院名・住所・電話番号が二回音声テープで流れますので落ち着いてメモを取るようにしてください。
救急安心センター事業(#7119) で症状の上手な伝え方
実際に医師を前にして自分の症状を伝えるのに比べ、相手の顔が見えない電話ではなかなか伝わりづらいことが多いので押さえるべきポイントを挙げます。
〝電話している人が患者本人なのか、そうでないのかをまず伝える〟
話している相手が困っている本人なのか、代わりに相談している人間なのかを取り違えられていると伝えたいことが伝わりません。
電話ではまず最初に「私本人のことなのですが」とか「具合が悪いのは私の母親で代わりに電話しているのですが」と伝えましょう。
〝年齢と性別を伝える〟
電話では相手の顔が見えないため、最初に
年齢と性別を伝えることでこちら側がどんな人間なのかを相手にわかってもらう必要があります。
例えば、20代女性の腹痛と70代男性の腹痛では原因なども全く違ってきますので特に自分以外の場合は性別を伝えることを忘れがちなので覚えておきましょう。
〝一番困っている症状を伝える〟
次に一番困っている症状を伝えましょう。
例えば
「お腹が痛いことでの相談なんですが」とか「めまいがするのですが」と簡素に相談したい要件の主題を伝えましょう。
〝症状を時間経過に沿って説明する〟
次に、一番困っている症状を時間経過を追って最初から説明します。
いつから始まったのか、その後今に至るまでどのように変化しているかを説明しましょう。
〝もともと持っている病気について説明する〟
なにか普段からもっている病気があれば、一通り相談したい症状について説明したあとに追加しましょう。
〝飲んでいる薬について説明する〟
飲んでいる薬があれば、ここで説明します。
薬の情報は非常に大切です。
特に、最近飲み始めた薬などがあれば症状に関係しているかもしれないので、その情報を相手に伝えることは必須です。
救急隊などに伝える内容に関してはこちらの記事をご覧ください。
最後に
#7119を初めとする救急相談センターは怪我や具合が悪くどうしてよいかわからないときにとても役立ちます。
ただし、
緊急性が高いと判断した場合や以下のような場合は#7119ではなく、迷わず119番通報してください。

また、
子供の救急相談は小児救急電話相談「#8000」で、小児科医師および看護師による小児救急医療の相談を受け付けています。
「子供が熱を出した」「鼻血が止まらない」「転んで頭を打ってケガをした」など、子どもの症状に応じて対処の仕方のアドバイスや受診可能病院の案内、救急車を呼ぶべきかどうかを助言してくれます。
なお、「#8000」は全国対応しているので、短縮番号に掛けるとご自身の都道府県窓口に転送されます。
#8000に関してはこちらの記事をご覧ください。


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