消防署の救命講習
救命講習で一番有名なものが、消防署の救命講習です。
半日の普通救命講習、8時間の普通救命講習等があり、各消防本部や防災協会などが開催している公的な資格です。
大切な人や家族の命を守る知識とスキル習得を目的に、心肺蘇生やAEDの使い方、けがの手当など、応急手当を習得することができます。
普通救命講習
広く一般市民を対象に、成人への救命処置(心肺蘇生法、AEDを用いた除細動)と、気道異物除去や止血法などの応急手当が行われています。
受講対象 | 小学校5年生以上 各消防署に要確認 |
講習時間 | 3時間 |
講習内容 | 心肺蘇生やAED、異物除去、止血法などを学ぶコース |
交付される資格 | 救命技能認定書 |
有効期間 | 講習受講日から3年以内に受講することで認定を継続 |
受講費 | 東京都は1,400円 各消防署に要確認 |
上級救命講習
成人や小児・乳児への救命処置に加え、ファーストエイド(三角巾を用いた骨折などの外傷救護法や、熱中症・やけどなどへの対応、事故等での頸椎損傷が疑われる傷病者への頭部保持、その他)、搬送法などが加わり、実技と筆記の効果測定を行います。
上級救命講習は赤十字救急法救急員養成講習と同等とされています。
受講対象 | 各消防署に要確認 |
講習時間 | 8時間 |
講習内容 | 普通救命(自動体外式除細動器業務従事者)講習の内容に加えて、小児・乳児の心肺蘇生、傷病者管理、外傷の応急手当、搬送法など学ぶコース |
交付される資格 | 上級救命技能認定証 |
有効期間 | 講習受講日から3年以内に受講することで認定を継続 |
受講費 | 東京都は2,600円 各消防署に要確認 |
日本赤十字社 救急法
消防署の講習の次に有名なのが、日本赤十字社の救急法ではないでしょうか?
赤十字救急法基礎講習、救急員養成講習等があり、民間資格です。
他にも日本赤十字社では、
水と親しみ、水の事故から人命を守るため、泳ぎの基本と自己保全、事故防止、溺れた人の救助、応急手当の方法などの知識と技術を習得できる、水上安全法
雪の楽しさを知るとともに、スキー場などでの事故防止や、けが人の救助、応急手当の知識と技術を習得できる雪上安全法
子どもを大切に育てるために、乳・幼児期に起こりやすい事故の予防とその手当、かかりやすい病気と発熱・けいれんなどの症状に対する手当などの知識と技術を習得できる幼児安全法
誰もが迎える高齢期を、健やかに生きるために必要な健康増進の知識や高齢者の支援・自立に向け役立つ介護技術を習得できる健康生活支援講習
と救急法を加えて5つの講習会を開催しています。
この5つの講習会があることから、救命講習よりも、より専門的な技術と知識を学ぶことができるといえます。
基礎講習
水上安全法、雪上安全法等全ての赤十字社の講習の窓口として位置づけられており、講習では、手当の基本、人工呼吸や心臓マッサージの方法、AED(自動体外式除細動器)を用いた除細動などを習得できます。
受講対象 | 満15歳以上のもの |
講習時間 | 4時間 |
講習内容 | 傷病者の観察の仕方および一次救命処置(心肺蘇生、AEDを用いた除細動、気道異物除去)等救急法の基礎 |
交付される資格 | 全課程修了者に受講証、検定合格者に赤十字ベーシックライフサポーター認定証 |
有効期間 | 発行日より5年間 |
受講費 | 1,500円(教材費、保険料等の実費) |
参照 日本赤十字社HP
救急法 救急員養成講習
救急員養成講習では、日常生活における事故防止や止血の仕方、包帯の使い方、骨折などの場合の固定、搬送、災害時の心得などについての知識と技術を習得できます。
受講資格 | 救急法基礎講習終了者 |
講習時間 | 10時間 |
講習内容 | 急病の手当、けがの手当(止血、包帯、固定)、搬送および救護 |
交付される資格 | 全課程修了者に受講証、赤十字救急法救急員(赤十字ファーストエイドプロバイダー)認定証 |
有効期間 | 発行日から5年間 |
受講費 | 1,700円(教材費、保険料等の実費) |
参照 日本赤十字社HP
日本赤十字社以外の団体で行われている講習会
日本では、日本赤十字社以外にも、習会を通じてAEDや心肺蘇生法の普及に努めている団体があります。
主な団体をご紹介します。
日本AED財団の講習会
「日本AED財団」とはAEDを市民が使用できるようになって10年目に立ち上げた「減らせ突然死プロジェクト」で得られた実績、経験を基に、心臓突然死をさらに減らすためにその発展形として設立された団体です。
日本AED財団では、現在、新型コロナウイルス感染予防対策のため、通常の講習会の代わりにオンラインでの講習会を開催しています。
準備するもの | Zoom®ミーティングシステムへ参加できるPC,スマートフォン等の端末(インターネットへ接続でき、音声・マイクがついているもの。カメラがあるとなお良いです) 座布団クッションなどの「しっかり押せるもの」(胸骨圧迫の練習に使います) 一般的なカード類2枚(AEDのパッドとして使います) |
講習時間 | 1時間 |
講習内容 | ビデオで心臓突然死とはどういうものか、AEDの操作方法の体験、心肺蘇生法のやり方、自分の健康を守るためには |
交付される資格 | |
受講費 | 無料 参加に必要なインターネット環境、PC等の端末、ZOOM®利用に関わる通信費用や情報セキュリティ対策については参加者の責任で対応 |
MFA(メディック・ファーストエイド)ジャパンの講習会
MFAとは、救急医療の先進国、アメリカで40年以上(1976年創設)も前に誕生した一般市民レベルの応急救護の手当の訓練プログラムで心肺蘇生法とAEDを短時間で習得できるケアプラス・コースを開催しています。
ケアプラス・コースは受講者の多様なニーズを満たすために、「成人」「成人と小児」「小児と乳児」「全年齢」の4つのパターンから選ぶことが出来ます。
受講資格 | 一般市民、企業、施設の職員警察官、消防団員 フィットネスクラブスタッフ |
講習時間 | 3~4時間 |
講習内容 | 心肺蘇生法、AEDの使い方 |
交付される資格 | 認定カード |
有効期間 | 発行日より2年間 |
受講費 | 各トレーニングサイトにより受講時間や料金が多少異なる 15,000円前後 |
その他の団体による講習会
他にも救命講習を行っている団体は数多くありますので、一部ご紹介します。
消防や日本赤十字社に比べると、医療従事者等が受講する講習の方が多く、講習会の内容や費用についても団体毎に異なります。
一般社団法人 国際救命救急協会 I.E.M.A | https://www.i-e-m-a.org/ |
日本循環器学会JCS-ITC | http://itc.j-circ.or.jp/ |
JAEA(ジャイア) 日本災害救護推進協議会 | https://www.jaea.org/index.html |
一般社団法人 日本救急医療教育機構 | http://www.aha-tts.com/ |
BLS横浜 | https://bls.yokohama/ |
EMR財団 | https://emr.or.jp/request-custom-made/ |
日本BLS協会 | http://blsjapan.com/index.html |
NPO法人 大阪ライフサポート協会 | https://osakalifesupport.or.jp/ |
AED販売メーカーが行う講習会
救命講習の中には、AEDのメーカーや販売店が行う講習もあります。
AED販売店で講習会を行う最大のメリットは、職場などで導入するAEDの訓練機を使用して講習を受講できることです。
AED販売メーカーが行う講習会には、AED導入時に講習を行ってくれたりする訪問講習、公開講習がありますので代表的なメーカー・販売会社の講習会をご紹介します。
フクダ電子の講習会
フクダ電子とは、心電計をはじめ心臓ペースメーカ、血管カテーテルなどの医療機器を製造・販売する医療機器専門メーカーで、フィリップス社と提携しAEDの販売も行っています。

出典 https://www.fukuda.co.jp/aed/
講習時間 | 60分 |
講習内容 | 心肺蘇生法、AEDの使い方 |
交付される資格 | |
受講費 | フクダ電子の販売会社までお問い合わせ下さい |
日本光電の講習会
日本光電工業株式会社は日本で唯一の国産AEDメーカーです。

日本光電の公開講習会では、道路や駅、空港等での救助を想定し、大型スクリーンでバーチャル講習体験ができるのが特徴です。
受講資格 | 小学校高学年以上、心肺蘇生とAEDに興味のある方 |
講習時間 | 3時間 |
講習内容 | 心肺蘇生講義 心肺蘇生実習 除細動の重要性 AEDの使用方法について AEDの使用上の注意点 心肺蘇生 + AED実習 メンテナンスについて |
交付される資格 | 修了証(一人当たり別途500円) |
受講費 | 公開講習会 1人あたり 5,000円(税別) 訪問講習会は1開催につき40,000円 |
参考 日本光電のAED情報サイト AEDライフ 講習会のご案内
セコムの講習会
防犯対策やセキュリティを提供している警備会社のセコムでもAEDを扱っており、特にレンタルAEDに力を入れていることから訪問講習会を行っています。
受講資格 | セコムのAEDレンタル契約者 |
講習内容 | 女性の多い職場、電車、プールなどのシーンごとの注意事項の説明、AED実機を使っての講習 |
交付される資格 | 受講証 |
受講費 | 27,000円 他にも毎年一回、3年に一回のコースあり |
最後に
新型コロナウィルス感染者への対応で医療機関が逼迫(ひっぱく)する中、各自治体に、救命講習の申し込みや問い合わせが増えており、市民の救命意識が高まっているといえます。
救命講習を再開している団体も増えていますが、7月1日現在、新型コロナウィルス感染予防対策のため、講習会が延期になっていたり、オンライン講習会で実施する団体も多いため、各詳しくは講習実施団体へお問い合わせください。


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