そして、心停止で倒れた人の社会復帰率は9%の現状、さらに倒れてからの対処が1分遅れるごとに救命率は7〜10%下がります。
しかし、それを救える方法があります!
目次
CPR(心肺蘇生法)とは
ただ、今、目の前で誰かが心肺停止で倒れた場合、あなたは心肺蘇生法、行うことができますか?
心肺蘇生法の流れ
画像:日本赤十字社の一次救命処置(BLS)~心肺蘇生法とAED~
反応(意識)を確認する
まずは、倒れている人の反応を確認します。
周囲の安全を確認してから倒れている人に近づきます。
そして、肩を叩きながら、「大丈夫ですか?」「聞こえますか?」など大きな声でよびかけ、反応があるか確認します。
この時、鎖骨の辺りを叩きましょう。
助けを呼ぶ・119番通報(口頭指導)
倒れている人(傷病者)に反応がなければ、大きな声で周囲に助けを求めます。
119番通報とAEDの手配
「人が倒れています!誰か来てください。助けてください!」
周囲に人が集まったら「あなたは119番通報をして、救急車を呼んでください」、「あなたはAEDを持ってきてください」と指示を出します。
この時のポイントは、指示を出すときに指をさして、あなたは119番を、あなたはAEDと個別に指名することです。
「あなた」と指示されることで、格段に行動しやすくなります。
誰も周りにいない場合は、自分で119番通報しましょう。
119番通報のポイント
119番通報すると、電話口の通信指令員から、呼吸・心停止の判断や胸骨圧迫のやり方などの指導を受けることができます。
救命講習を受けたことがなかったり、心肺蘇生法に自信がない場合は、119番通報して状況を説明した後、通信指令員に相談して指示を仰ぎましょう。
呼吸の確認
傷病者が正常な呼吸をしているか確認します。
胸や腹部の動きを見て(上下に動いているか)判断します。
胸と腹部が動いていなければ、呼吸が止まっていると判断します。
「死戦期呼吸」という心停止直後によく見られる、しゃくりあげるような呼吸があります。
死戦期呼吸では口がぱくぱく動いていることが多いため、別名「あえぎ呼吸」とも呼ばれており、胸骨圧迫が必要な状態です。
口の動きを見ると、この死戦期呼吸を正常な呼吸と勘違いしてしまう可能性があるので、胸やお腹で呼吸の確認をします。
呼吸の確認のポイント
呼吸の観察には10秒以上かけないようにします。
正常な呼吸かわからない場合など、判断に迷ったら、ただちに胸骨圧迫を開始します。
迷ったら(疑わしきは)胸骨圧迫、とされています。
すぐに胸を押しましょう。
胸骨圧迫
傷病者を仰向きに寝かせて、横にひざをつき、胸骨圧迫を行います。
成人への胸骨圧迫は、片方の手の付け根を胸(胸骨の下半分)に置き、もう片方の手を重ねて指を交互に組みます。
肘をまっすぐに伸ばし、手の付け根に体重をかけて胸の真ん中(胸骨下半分)を圧迫します。
一回圧迫したら、胸が完全に元の位置に戻るように圧迫を解除します。そしてまた圧迫します。
小児(15歳未満)の場合は、両腕または片腕で圧迫をします。
乳児の場合は、二本指(中指と薬指)で圧迫します。
胸骨圧迫のポイント
押す深さ
胸が約5cm沈むように圧迫し、6cmを超えない。(小児や乳児は、胸の約3分の1の深さ)
押すテンポ
1分間に100~120回(小児や乳児も同じテンポ)
解除(除圧)
毎回、圧迫したらしっかりと(完全に)胸を元の位置に戻す。
ただし、押す深さが浅くならないように注意しましょう。
絶え間なく
AEDを使う際や人工呼吸の際など胸骨圧迫を中断する時間が生じますが、中断は最小限にします(10秒以下)
交代する
胸骨圧迫は体力を使います。
胸骨圧迫の質(深さやリズムなど)を低下させないために、複数人いる場合には救助者同士で胸骨圧迫を1~2分ごとに交代しながら行いましょう。
AEDを使う
AEDの電源を入れると音声ガイダンスが始まります。このガイダンスに従い使用します。
AEDの使い方の流れ
AEDの電源を入れる
フタを開けると電源が入るタイプ、電源ボタンを押すタイプがあります。
傷病者の胸部を確認する
胸部が濡れてないか確認
水や汗などで濡れているとパッドが密着しません。(タオルで拭き取る)
付けてない確認
貼り薬(ニトロ・シップ等)がパッド貼り付け箇所にあれば、確実にはがして薬剤も拭き取ります。
ペースメーカー確認
心臓ペースメーカーや除細動器が埋め込まれている場合は、胸に硬いこぶのような出っ張りが見えます。
貼り付け部位にこの出っ張りがある場合は、電極パッドは出っ張りを避けて貼り付けてください。
電極パッドを貼り付ける
右胸と左わき腹それぞれに貼り付けます。
(※未就学児(およそ6歳未満)に対しては、小児用パッド・小児用モードがあればそちらを使い、無い場合などやむを得ない場合は成人用パッドを使用します。
その際パッド同士が触れ合わないように、胸と背中に貼るなどしてください。)
AEDが電気ショックが必要かどうかを判断する
AEDが自動的に心電図を解析して、「心電図を解析しています。触れないで下さい。」と音声ガイダンスが流れます。
このアナウンスを聞いたら胸骨圧迫を中断して傷病者に触らないように離れます。
電気ショックのボタンを押す(必要な場合)
電気ショックが必要な場合、AEDから「電気ショックが必要です。点滅しているボタンを押して下さい。」などの音声ガイダンスが流れます。
それに従い電気ショックボタンを押します
この時、電気ショックが不要であれば、「電気ショックは不要です。」と音声がでますのでその場合は直ちに胸骨圧迫を再開します。
すぐに胸骨圧迫を再開する
電気ショックを行った後、または電気ショックが不要とアナウンスされた後はどちらの場合も、すぐに胸骨圧迫を再開します。
AED使用の際のポイント
AEDを使用する際、一度貼った電極パッドは救急隊が到着するまで剥がさないようにして下さい。
電気ショックが不要といわれたり、傷病者が意識を取り戻した場合でも、万が一再度意識を失いAEDを使用することになる可能性があるので救急隊員に引き継ぐまで貼ったままにします。
なお、傷病者が意識を取り戻した場合は、胸骨圧迫は中止します。
気道確保と人工呼吸
救命講習などで気道確保と人工呼吸を習った経験があり、実践できるスキルのある人は、30回の胸骨圧迫の後、人工呼吸を2回行います。
意識のない傷病者は体の筋肉が弛緩しているために舌で気道がふさがれている状態になっています。
人工呼吸をする前にはまず、気道確保をする必要があります。
気道確保をしたら、人工呼吸は1回1秒とし、空気が漏れないように口を大きく開けて、傷病者の鼻をつまみ、口対口で行います。
胸の上がりが確認できるぐらいまで息を吹き込みます。
特に小児の心停止においては、胸骨圧迫と人工呼吸を組み合わせた心肺蘇生を行うことが望ましいです。
胸骨圧迫(と人工呼吸)とAEDの繰り返しと観察
救急隊員が到着するまで、胸骨圧迫と人工呼吸、そしてAEDの使用を繰り返します。
30回胸骨圧迫、2回人工呼吸の割合で続けます。
2分ごとにAEDが心電図を解析しますので、AEDのガイダンスに従い、解析に入ったら離れ、必要があれば電気ショックを行い、すぐに胸骨圧迫を再開します。
意識が戻り正常な呼吸に戻った場合や呼びかけに応じるなどのしぐさが出ない限りは心肺蘇生を中断してはいけません。
意識が戻った場合は、傷病者を観察しながら救急車を待ちます。
救急隊到着後の流れについてはこちらの記事をご覧ください。
訓練を受けている場合は傷病者を回復体位にし、救急車の到着を待ちます。
観察を続けるなかで、正常な呼吸ではないと判断した場合は、再度、心肺蘇生とAEDの使用を行います。
心肺蘇生法の手順に関しては日本赤十字社の動画がありますので、こちらあわせてもご覧ください。
最後に 日本赤十字社の一次救命処置(BLS)~心肺蘇生法とAED~
不惑の応急手当広め隊
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