出典 上段左から 日本光電のレスキューキット、ヤガミのレスキューセット、レスキューセット(CUオリジナル)、 下段左から 日本ライフラインの救急6点セット、ZOLL AED Plus救急セット(6点入り)、オムロンAED救急キット
服を脱がし、スムーズにパッドを貼るために必要なハサミ
パッドを貼る位置が濡れていたり、大量の汗をかいている時に必要なタオル
コロナ渦において感染防止のために手を保護する手袋
パッドを貼る胸部分の体毛が濃い場合剃るときに必要なカミソリ
これらはレスキューセットやレスキューキット、救急セットなどと呼ばれ、AEDを使用するうえで欠かせないものですが、実は、AEDに必ず入っているわけではありません。
目次
レスキューセットとは
多くのAEDには、レスキューセットというタオルやハサミ、手袋や人工呼吸用携帯マスク、など、救命で必要になる道具をまとめたパックやポーチが付属しています。
なお、レスキューセットは医療機器ではありません。
レスキューセットはAEDのキャリングケースに収納されていたり、AED収納ボックスに備え付けてあることで、AEDと一緒に持ち出せるようになっています。
販売会社やメーカーによりレスキューセットやレスキューキット、救急セットなどと呼び名が変わり、中身も多少違いますがここでは代表的な中身を紹介します。
“ハサミ”
レスキューセットには衣服を切るためやアクセサリーを切るためのハサミが入っています。
レスキューセットに入っているハサミは肌を傷つけないように、先が丸く、反りのあるタイプが入っています。
また、下の刃先はガード機能が付いて安全に使用でき、衣服の切断に最適です。

出典 www.totalone.co.jp/guard/cart/kizai02.htm
AEDのパッドは素肌に直接貼る必要があります、そのため、服を脱がしづらかったり、はだけづらかったりする場合はハサミで裁断する必要があります。
“カミソリ”
レスキューセットにはカミソリも入っています。
日本人で除毛が必要なほど胸毛が濃いケースは稀ですが、胸毛が濃いために電極パッドが肌に密着しないと、電気ショックの十分な効果が得られない可能性があります。
そのため、胸毛が濃い人にはカミソリを使い除毛してください。
“タオル”
水や汗で傷病者の胸の部分が濡れていると、電気ショックの電気が体の表面の水を伝わって流れてしまうため、電気ショックによる十分な効果が得られません。
レスキューセット内に入っているタオルで胸を拭いてから電極パッドを貼り付けてください。
また、湿布薬や、鎮痛剤、ホルモン剤、降圧剤などの貼り薬が貼られている場合もこれらを剥がし、残っている薬剤をふき取ってから電極パッドを貼り付けてください。
“使い捨て手袋”
コロナ渦において感染防止が一層注目されていますが、血液や吐物による感染防止のため、AEDを使用する時にも使い捨ての手袋は必要不可欠のものとなっています。
現在使われている使い捨て手袋の素材はポリエチレン手袋、プラスチック手袋、ビニール手袋、ラテックス手袋、ニトリル手袋がありますが、人によってアレルギーが出る可能性がある天然ゴムのラテックスから合成ゴムであるニトリル手袋が使われることが多くなってきています。
“人工呼吸用マスク・マウスピース”
新型コロナウィルス流行期においては、バッグマスクがない、もしくはバッグマスク換気ができない場合は、成人傷病者には人工呼吸はしない、というのが基本方針です。
しかし、呼吸が原因で心停止が起こる可能性が高い子どもの救命や溺水の場合は人工呼吸は欠かせません。
人工呼吸をする場合において人工呼吸用マスク・マウスピースは欠かせないものとなっています。
“脱毛テープ”
体毛が多い人に対して一枚目のパッドで体毛をはがし、予備のパッドを使うという方法がありますが、予備のパッドがAEDに入っていない場合もあります。
カミソリを使うと時間がかかる上に、皮膚を傷つけて出血してしまうとパッドパッドがしっかりと貼れない場合があります。
そのような場合に便利なのが、脱毛テープです。
AEDメーカーのレスキューセット
現在日本国内では日本光電、フィリップス、オムロン、旭化成ゾールメディカル、日本ストライカー、CU、日本ライフラインという7社のAEDメーカーがあります。
AEDメーカー7社の比較に関してはこちらの記事をご覧ください。
この7社のAEDには
もともと基本セットにレスキューセットが含まれているもの
販売会社、レンタル・リース会社のサポートパックにレスキューセットが含まれているもの
別売りとしてレスキューセットの購入が必要なもの
があります。
※備品名に関しては各HPに準じています。
“日本光電のAEDレスキューセット”

日本のAEDシェアNo.1である、日本光電のAEDレスキューセットは、タオル・ハサミ・蘇生用マウスピース・カミソリ・グローブが入っており、オプション品です。
日本光電制AEDの代表的な販売会社であるリコー・canon・ 救命コム・日学・セコムのサービスパックであればレスキューセットが基本セットになっています。
また、救命コムのレスキューセットには脱毛テープも付属されています。
“フィリップスのAEDレスキューセット”

日本光電と日本のAEDシェア2強であるフィリップスのAEDレスキューセットはファストレスポンスキット(救急キット)と呼ばれており、ポケット・マスク、使い捨てカミソリ、 使い捨て手袋 2 組、救急用はさみ、ふき取り用の布の入ったポーチが入っているオプション品です。
フィリップス製AEDの代表的な販売店である、ALSOK、 救命コム、フクダ電子 、canon(ハートスタート HS1+ハサミのみ)のサービスパックでは基本セットになっています。
また、ALSOK、フクダ電子、救命コムのレスキューセットには脱毛テープも付属されています。
“オムロンのAEDレスキューセット”

血圧計や体温計、体重体組成計や歩数計などで有名なオムロンのAEDレスキューセットは、基本セットには含まれていないためオプション品です。
オムロンではAED救急キットと呼ばれており、ゴム手袋1双(フリーサイズ)、カミソリ1本、ハサミ1本、タオル1枚、蘇生用マウスピース1個、ペーパータオル1枚 がセットになっています。
救命コムもオムロンのAEDを取り扱っており、救命コムのレスキューセットには脱毛テープも付属されています。
“旭化成ゾールメディカルのAEDレスキューセット”

AEDメーカー7社の中で一番特徴的なAEDである、旭化成ゾールメディカルのAEDレスキューセットは救急セット6点として、万能ハサミ、カミソリ、清浄綿、ペーパータオル、手袋、フェイスシールドが基本セットとしてAEDの中に入っています。
“日本ストライカーのAEDレスキューセット”


日本ストライカーのAEDはサマリタンシリーズとライフパックCR2があり、販売店のヤガミのサービスパックに、基本セットとして、手袋、はさみ、かみそり、使い捨て不織布のレスキューセットが入っています。
“CUのAEDレスキューセット”


CUは韓国のAEDメーカーであり、クォリティーが主な販売店です。
CUのAEDは、CU-SP1とNF1200という二つのAEDが一般向けとしてあり、オプションとしてハサミ、キューマスク、手袋、カミソリ、吸水用使い捨て不織がセットになっている、レスキューセット(CUオリジナル)が販売されています。
“日本ライフラインのAEDレスキューセット”

心臓ペースメーカーなど医療機器の販売を行っており、AEDも取り扱っている日本ライフラインのAEDレスキューセットはプラスチック手袋、万能ばさみ、2枚刃カミソリ、清浄綿、ペーパータオル、タブレットマスクの救急6点セットが基本セットとしてAEDの中に入っています。
レスキューセットを使用したら
レスキューセットを使用したら、使いまわすのではなく、新しいものに交換しましょう。
レスキューセットは1000円から4000円ほどで購入できます。
基本的なレスキューセットの中身である、手袋、はさみ、かみそり、使い捨て不織布であれば市販されているもので十分です。
また、販売会社やレンタル・リース会社は使用したときのレスキューセットの交換保証がサポートパックに入っている場合も多くあります。
AEDの中にレスキューセットが入っていなければ
基本的には、AED内か収納ボックス内にレスキューセットが入っている場合が多いですが、レスキューセットが入っていない理由として
AEDを中古で購入して、レスキューセットが入っていない
安価に抑えるためにオプションのレスキュートセットを入れていない
レスキューセットを使用した後、補充をしていない
といった理由が考えられます。
レスキューセットが入っていなければ、
手袋であればレジ袋、タオルはハンカチなど代用品を使う
周囲の人にタオルやハサミを持ってきてもらうように要請する
などの方法をとりましょう。
最後に
講習でAEDを使用したことがある方でも、レスキューセットを気にしたことがある人は少ないのではないでしょうか。
レスキューセットは、AEDを使うときに使用する可能性の高いものです。
職場や施設などにAEDが設置されている場合、ぜひAEDの中や収納ボックスの中にレスキューセットが入っているか、確認してみてください。
不惑の応急手当広め隊
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