傷の手当 徹底解説

 

応急手当で最も頻度が高いのが、傷の手当です。

すり傷や切り傷は、日常でよくあるけがです。

膝や肘、指先などの傷であれば何も考えずに絆創膏を貼るだけという人も多いのではないでしょうか?

しかし、場所によっては、血が止まらない、傷口が深い、広いなどの理由から絆創膏だけでは手当ができない場合も多いのが傷の手当です。

 

そこで今回は、傷の手当ての方法を紹介します。

傷が治るメカニズム


以前は、ケガをすると、消毒液をつけて傷口にガーゼを当てるという処置がされてきました。

しかし、現在では、この方法は傷を治すためには、あまり良い方法ではないといわれています。

 

その答えは、傷の手当のメカニズムによります。

 

傷のメカニズムは以下の通りです

 

①傷口から出血すると止血しようと血小板が集まってくる

②白血球が傷で死滅した組織や細菌を除去する

③コラーゲンを生成する細胞(線維芽細胞)が集まり傷口をくっつける

④表皮細胞が集まり、傷口をふさぐ

 

消毒液は悪い菌をやっつけると同時に、傷を良くする細胞までやっつけてしいます。

消毒液を使うことは逆に傷の治りを妨げることがあります。

そのため応急手当の方法も、まずは消毒液という考えから、まずは傷口を洗うという方法に変わっています。

 

傷の手当の手順


けがをしてしまった時、また、けがの手当にあたる場合は、まずは落ち着いて、以下の手順を参考にしてください。

1 傷をよく洗う

2 血が出ていたら、傷を直接圧迫する

3 傷の状態を確認する

4 傷を清潔に保ち保湿する

5 ふさがった傷は遮光する

状況によって、1、2、3の順番が入れ替わる場合があります。

 

続いて、それぞれの順番について詳しく説明していきます。

 

 

1 傷をよく洗う


どんな傷でも、まずは傷口をよく洗うことが大切です。

できる限り傷の中に砂など異物が残らないよう、水道水で洗い流します。

できれば泡立てた石鹸を使って、傷の周りの皮膚の汚れもあわせて落とすように洗ってください。

この時、消毒は不要です。

傷口に石鹸が残ってしまうと、治りにくくなる原因になるので、使用する際は必ずよく水で洗い流すようにして下さい。

痛みが強くて自分では傷を十分に洗えない時は、無理せず医療機関を受診してください。

傷口からの出血がひどい場合は無理に洗わず、2の止血へすすんでください。

 

すぐに病院へ行くべき傷の状態


 

傷の中の異物が完全に取り除けない

汚い水が溜まっている場所(どぶや古池など)でけがをした

動物や人に咬まれてけがをした

錆びた鉄や古い木材でけがをした

上記に当てはまる人は、感染したり、破傷風を起すばあいがあります。

傷をできる限り洗った後は、速やかに医療機関を受診するようにしてください。

 

 

2 傷を直接圧迫で止血する


 

 

けがをしたら、傷から血が出ることも少なくありません。

傷から出血している場合、傷を直接圧迫するようにしてください。

この時、傷口には直接触れず、必ずガーゼやタオルの上から圧迫するようにしてください。

出血があればあるほどこの圧迫は大事になります。

 

圧迫する部位に関して注意点


 

傷に清潔なガーゼやタオルなどを当てて、その上から血が出ている場所を押さえます。

押さえる力は全体重をかけるほどに強くする必要はありません。

通常の出血であれば数分で血は止まりますし、ひどい出血であっても出血量を抑えることができます。

傷の真上以外の場所を圧迫したり、ゴムや紐などでしばったりすると、かえって出血がひどくなることがあります。

あくまでも出血している傷そのものを押さえるようにしてください。

 

止血の際、病院へ行くべき場合


 

傷を5分以上押さえても血が止まらない

大量出血している

明らかに大量出血をしている場合はすぐに119番通報するようにしましょう。

 

119番通報の仕方に関してはこちらの記事をご覧ください。

 

119番通報の仕方と119番通報をしている電話の向こう側を徹底解説

 

3 傷の状態を観察する


傷からの出血が止まっても手当は終わりではありません。

傷の状態を下記のようなことがないか、いま一度よく観察してみてください。

 

傷の深さはどうか

出血は完全に止まっているか

傷の中に異物が残っていないか

けがをしたところの動かしにくさやしびれた感じなどないか

 

 

すぐに病院へ行くべき傷の状態


 

傷の中に黄色い脂肪の組織や筋肉、骨が見えている

切った傷口が大きく開いている

傷がえぐれている

刺し傷である

けがをした場所に動かしにくさやしびれがある

 

上記に当てはまる人は、専門の処置が必要になりますので傷を洗ったあとは速やかに医療機関を受診してください。

 

 

4 傷を清潔に保ちつつ保湿する


自宅で傷をきれいな状態で保護するために必要なことが2つあります。

傷を清潔に保つ

傷を保湿する

の2つです。

 

4-1 傷を清潔に保つ


傷が完全にふさがるまでは、傷を清潔に保つことが重要です。

傷を軟膏や被覆材で保護している期間も、1日に1回は傷を水道水で洗って、新しいものに取り替えるようにしましょう。

ただし傷を強くこすらないで、傷の上に残っている古い軟膏類を取り除くつもりで洗ってください。

 

また、傷周りの皮膚の洗浄も大切です。

 

傷口の周りの正常な皮膚に、傷から出た滲出液(治る過程で出てくる汁のようなもの)や血のりがこびりついたままにならないよう、泡立てた石鹸で優しく洗って落とすようにします。

傷を汚い状態のままで放っておくと菌が繁殖しやすくなり、新たに感染を起こす原因となります。

 

一日に一回は傷を洗って、傷の様子を観察するようにしてください。

 

すぐに病院へ行くべき傷の状態


 

傷が赤く腫れて痛みが強いとき

傷からの滲出液がなかなか減らないとき

傷から膿(うみ)が出てくるとき

傷から悪臭がするとき

上記に1つでも当てはまる人は、傷に感染をおこしている可能性があります。

専門の処置を受ける必要がありますので、速やかに医療機関を受診するようにしてください。

 

 

4-2 傷を保湿する


傷を早くきれいに治すには、保湿を行ってできるだけ乾燥させないことが大切です。

傷に潤いを持たせて密閉する方法を湿潤療法と呼びます。

専用の被覆材は比較的値段が高くつくため、精製度の高い白色ワセリン基剤の軟膏(プロペト®️など)と、ごく普通のガーゼや絆創膏で代用することができます。

 

 

傷口全体を覆うようにワセリン軟膏をやや厚み(1-3mm程度)をもたせて塗り、その上からガーゼや絆創膏で保護します。

また、傷の治りを少しでも早くするために、軟膏の上に食品用ラップを被せて最後にガーゼで覆う方法もあります。

ラップを用いるのは傷の密閉度を高めるためです。

被覆材や軟膏類は少なくとも1日に1回は取り替えましょう。

目安として、傷がピンク色の薄い皮膚で完全に覆われるまでは、保湿を続けるようにしましょう

 

 

5 ふさがった傷を遮光する


傷が治ると、最終的にピンク色の薄い皮膚で覆われて傷は完全にふさがります。

傷あとの薄い皮膚に赤みが残っているあいだは、紫外線が当たると色素沈着を起こしやすいため、茶色いシミとして後々目立ってきます。

最低でも2-3ヶ月は意識して直射日光を避けると、より傷あとが残りにくくなります。

遮光の方法としては、傷あとに茶色いテープや絆創膏を貼ったり、日焼け止めを塗る方法があります。

 

とくに顔や手の甲など、日光にさらされやすく、見た目も気になる部位の傷は、遮光期間を長めにするとよいでしょう。

 

この段階で、感染などの問題が起こることはほとんどありません。

しかし、傷あとをできるだけ残したくない、少しでも傷あとを見えにくくしたいという人は、皮膚科や形成外科のある医療機関へ相談してみてください。

 

 

最後に


たかが傷と思わずに、しっかりと手当を行うことが、傷を早く治し、傷跡をきれいにする秘訣です。

また、自分での判断に迷う時はすぐに医療機関を受診するようにしましょう。

特に、糖尿病や膠原病などの持病がある人は、通常の手当てでは傷が治りにくくなっていますので、けがをしてしまった時は早めにかかりつけのお医者さんに相談してください。

 

傷以外のけがの手当てに関してはこちらの記事をご覧ください。

 

http://minna-guard.site/簡単%ef%bc%81アニメで学ぶ応急手当外傷など/

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