2004年7月、AEDの市民による使用が解禁されて以降、現在では約62万台のAEDが設置してあると推定されており、日本は世界でも有数のAED保有国と言われています。
しかし、15年以上たった現在でもAEDには整備問題、実際の使用法の啓発不足など様々な課題が存在します。
AEDの普及ばかりクローズアップされがちですが、AEDの普及以外にもAEDの課題は山積みされていると言えます。
その中でも、
AEDが近くになかった、
AEDはあったけど使い方がわからない・使うのが怖い、
AEDを使ったのに救命できなかった
この3つの課題は知識を得ることでなくしていくことができます。
そこで今回は、このAED3つの課題を紹介していきます。
AEDの課題➀ AEDが近くになかった
AEDの普及が広がっていますが、場所によってはまだまだAEDが近くにないということも考えられます。
この課題を解決するポイントは、AEDがどこにあるのか、AEDが近くにない場合はどうしたら良いのかを知ることです。
AEDには適正配置に関するガイドラインというものが設けられており、以下のような場所に設置することが推奨されています。
1.駅・空港・長距離バスターミナル・高速道路サービスエリア・道の駅
引用 AEDの適正配置に関するガイドライン
2. 旅客機、長距離列車・長距離旅客船等の長距離輸送機関
3. スポーツジムおよびスポーツ関連施設
4. デパート・スーパーマーケット・飲食店などを含む大規模な商業施設
5. 多数集客施設
6. 市役所、公民館、市民会館等の比較的規模の大きな公共施設
7. 交番、消防署等の人口密集地域にある公共施設
8. 高齢者のための介護・福祉施設
9. 学校(幼稚園、小学校、中学校、高等学校、大学、専門学校等)
10. 会社、工場、作業場
11. 遊興施設
12. 大規模なホテル・ コンベンションセンター
13. その他
13-1 一次救命処置の効果的実施が求められるサービス
13-2 島しょ部および山間部などの遠隔地・過疎地、山岳地域など、救急隊や医療の提供までに時聞を要する場所)
AEDがどこにあるかに関してはこちらの記事もご覧ください。
しかし、病院外心停止の 7 割以上が住宅で発生しています。
心停止から3分を超えれば心臓が完全に停止する確率が高くなり、AEDが使用できなくなる可能性が高まります。
自宅から3分以内に上記の場所からAEDをとりに行ける人がどの位いるでしょうか?
では、AEDが近くにない場合はどうしたら良いのでしょうか?
AEDが近くにない場合はどうしたら良いのか?
例えば、周りに協力者がいない状態でAEDが近くにあることがわかっていれば、いったん傷病者のもとを離れてでもAEDを自分で取りに行きます。
しかし、AEDがどこにあるかわからないときはAEDを探すために時間を費やさないようにします。
傷病者の反応がないことを確認したら、ただちに119番通報をして、心肺蘇生を続けながら救急隊の到着を待ちましょう。
AEDの課題➁ AEDはあったけど使い方がわからない・使うのが怖い
AED課題の2つ目は、AEDがあったにも関わらず使われなかったということです。
これは主にAEDの使い方がわからなかったり、AEDを実際に使用するのが怖いという気持ちからくるものがほとんどですが、AEDを使うことが不安だというのは当たり前のことです。
この課題を解決するためのポイントは、AEDを使用する流れを講習会などで体験することです。
AEDの講習会では、AEDの使い方だけでなく、倒れている人を発見したときどうすると良いのかを学ぶことができます。
また、講習会に行くことで
AEDはどのように使えばよいのか?
AEDを使ってよい人と使ってはいけない人はいるのか?
女性への使用はどうしたらよいのか?
失敗したら訴えられるのではないか?
等といった不安や疑問も消防士や日本赤十字社の職員など講習会の講師に聞くことができるというメリットがありますし、正しい知識の習得、講習を受けた体験は自信につながります。
講習会に関してはこちらの記事で詳しく解説しています。
AEDの課題➂ AEDを使ったのに救命できなかった
3つ目の課題はAEDを使ったのに救命できないケースがあるということです。
この課題を解決するポイントは、反応・呼吸がない人にはまず胸骨圧迫を行うということです。
AEDは心室細動、無脈性の心室頻拍といわれる、2つの心臓が痙攣しているタイプの心停止に電気ショックを与え、正常なリズムに戻すための医療機器です。
心臓が痙攣していると血液を送り出せません。
このような時に、正常な心拍を取り戻すために、電気で一瞬心臓を止める機械がAEDです。
しかし、その後止まった心臓が正常に動き出すことはまずありません。
正常な動きを心臓に取り戻すのに必要なのが、胸骨圧迫です。
また、心室細動ではない、あるいはすでに心臓が完全に止まっている状態に対してAEDは有効ではありません。
この場合でも胸骨圧迫を行うことが重要となります。
胸骨圧迫に関してはこちらの記事で詳しく解説しています。
最後に
2004年(平成16)年7月、厚生労働省通知により、一般市民にも AED の使用が可能となって多くの施設にAED が設置されるようになりましたが、AEDをいかに有効に使用できるかという次の課題に直面しています。
今回挙げた課題はほんの一部です。
AEDの課題はまだまだ多くありますが、AEDを少しでも知ることが課題解決の一歩となります。
当サイトではAEDに関することなど紹介していきますので参考にしていただければ幸いです。


最新記事 by 応急手当パイセン (全て見る)
- 「救急車を呼ぶべきか」悩んだりためらった時に便利な救急安心センター事業(♯7119)って全国で通じるわけじゃないってホント? - 2023年8月10日
- 愛媛県でも救急の電話相談窓口である#7119がスタートしました。 - 2023年8月5日
- 全国のAEDマップ一覧 - 2022年12月31日
- AEDがあるコンビニ 大紹介 - 2022年7月15日
- 心肺蘇生法や応急手当が出てくる漫画 - 2022年3月27日